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2019/10/2ブログ
本日のテーマ【口腔の健康格差】
背を向けてはいけない口腔の“健康格差”
皆さんは『健康格差』と聞いてどのようなことを思い浮かべますか?歯の状態が悪く、むし歯や歯周病が多かったり、治療を十分にしていない人でしょうか?これは一面として正解ですが、実は健康格差にはもっと幅広く奥深い概念があります。健康格差を知ることで、自分自信の行動が変わるかもしれません。近年注目されている健康格差について説明します。
みなさんは世界でもっとも多い病気が何かご存知でしょうか?実は、大人の歯のむし歯が世界でもっとも多い病気です。加えて、子どもの歯のむし歯や歯周病もかなり多い病気として知られています。日本では「虫歯は減少した」とよく言われていますが、昔と比べて減っていても、歯科疾患は「誰もがかかる病気である」というのが特徴であります。
そのため、歯科疾患の医療費の合計はほかの疾患と比べても多くなっているのが現状です。一人一人の歯科医療費は安くても羅患している人が多いので日本全体では多くの医療費がかかっているのです。特に64歳以下では、ほかのどの病気よりも多くなっています。
なぜ?健康格差の理由
なぜ健康格差が存在するのでしょうか?健康格差の原因を考える時には、病気の原因の考え方を広げる必要があります。例えば「磨き残しが、歯肉炎の原因である」「不十分なブラッシングが磨き残しを蓄積させる」「不十分なブラッシングが歯肉炎の原因である」というのは理解しやすいでしょう。「仕事が忙しく、夜遅く帰宅して疲れていたから」「3人目を出産したあとで子どもの世話で余裕がなかった」「明日の仕事がプレッシャーで歯磨きの事なんてちゃんと考えられてなかった」とか、こういったことは理由として考えられないでしょうか?このような間接的な原因は疾病や行動に影響する「原因の原因」であり「健康の社会的決定要因」とよばれ、健康格差の最大の原因とされています
健康格差の対策
健康格差をなくすにはどうしたらよいのか?この答えを簡単に述べると「どのような環境の人でも恩恵がある対策」になります。例えば学校でフッ化物洗口のような歯科保健対策が実施されていれば家庭で歯科受診を行なう余裕がない環境の子供には大きな恩恵があります。もちろん、家庭で歯科受診が行える子供にとっても学校でさらなる対策が行えるというメリットがあります。実際に、学校や幼稚園・保育園でフッ化物洗口を実施することでむし歯の地域格差が減少することがわかっています。この例は、学校という社会的決定要因を変化させたわけですが、このように環境を変える対策がもっとも大きな効果があります。